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2012年7月20日金曜日

孤高のレシーバ SONYの "ICF-SW7600GR"

"ICF-SW7600GR" と言えば、知る人ぞ知る、ソニーの "FMステレオ/LW/MW/SW PLLシンセサイザーレシーバー" だ。同期検波と言うユニークな機能を搭載し、世界が認める正に孤高のラジオ、いやレシーバーと言える。

大昔は "全波受信機" と呼ばれたが、いま風に言えば、長波(LW)から中波(MW)、短波(SW)、それに加え、FMステレオも聴けるワイドバンドなレシーバーである。

今から三十数年前、中波や短波による遠距離受信、いわゆる、国内各地からの中波放送や海外からの国際放送を聴く、BCL(Broadcasting Listening)ブームが起こった。

当時、家電大手の各社が、このBCL用のラジオを競作し、ドンドン性能もアップ、それ以前では想像も出来なかったほど高性能のラジオが次々と発売された。
今から思えば、この一大ブームも長くは続かず、数年後には収束してしまった。

それから今日まで、何度かマスコミなどで取り上げられ、中年オトコの道楽?として、仕掛けられたが、往時のメーカーも素知らぬ顔?で、結局は何も起こらなかった。

正直なところ、リバイバルの兆候は定かではないが、根強いファンは居るようだ。
いま市販で、長波、中波、短波放送を聴ける "BCLラジオ" と呼べるモノは、ソニーの "ICF-SW7600GR" だけと言っても過言ではない。それも、BCLブーム時代のラインナップと比べれば、中程度のランクで、欲を言えば、もう一つ上のクラスが欲しいところだ。

しかし、これにも事情がある。
十年ほど前、この "ICF-SW7600GR" には、上位モデルも下位モデルもあり、全体としてバランスの取れたラインナップだった。
その後、次々と生産中止となり、品揃えの構成が崩れ始め、遂には、この "ICF-SW7600GR" と幾つかの下位モデルだけが生き残った、何とも悲しい現実がここにある。

AN-12
それなりの年齢になり、往時は買えなかったモデルでも、今なら買えそうだが、モノが無いのでは致し方ない。

無い物ネダリは無意味だが、今は座右に、この "ICF-SW7600GR" がある。
夜になると、日本全国の県庁所在地にあるAM放送や韓国、台湾、中国、極東ロシアなどアジア近隣からの短波放送も難なく聴くことができる。

昔はアナログ・ダイヤルだったから、周波数が合っているのか?常に心配しつつ、右に左にダイアルを繰ったが、今はダイアルもデジタル選局になり、その周波数で聴こえなければ、電波の伝播状態が悪いと判断して別の局を探すので、諦めと言うか決断も早い。

地元のFM放送やAM放送が良好に受信できるのは当然だが、鉄筋構造の集合住宅では、短波放送は全くダメ、FMもAMも雑音に邪魔されたりで満足な音にならないことも多い。
ソニーの尻馬に乗る積もりはサラサラ無いが、純正オプションのLW/MW/SWワイドレンジアンテナ "AN-12"は絶対に必要。これ無くして、感度が悪いなどとケチを付けるのは筋違いだ。携帯もそうだと思うが、電波は部屋の奥までは届き難いから外部アンテナは必須なのだ。

さて、この "ICF-SW7600GR" だが、
全世界で八十万台を売ったとされるソニーのICF-7600シリーズの現行モデルである。
初代のアナログ機 ICF-7600(1978年発売)から始り、ICF-7600A(1982) → ICF-7601(1988)、デジタル機は ICF-7600D(1983) → ICF-7600DA(1987) → ICF-SW7600(1990) → ICF-SW7600G(1994) → ICF-SW7600GR(2001)と、時代とともにドンドン進化してきた。

初代からの "7600" のサフィクスを受け継いでいて、ソニーの拘りが感じられるが、現行モデルも発売より十年余も過ぎていて、ソロソロ代替わりを期待するユーザーも少なからず居るように思う。
当のソニーがどう考えているか?分からないが、他社から調達しているキーパーツが、数年前から次々と生産終了になり、ソニーも腹を括る時期が近いようにも思える。他力本願だが、多くの "7600" ファンとともに朗報を期待したいところだ。


ICF-SW7600GR 取扱説明書

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