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2012年7月5日木曜日

「サラダ記念日」から25年、「風が笑えば」刊

たまたま立ち寄った書店で、背表紙の「俵 万智」の名に気づき手に取ってみた。久しく忘れていた歌人だ。彼女の歌集「風が笑えば」だったが、かって、ミリオンセラーになった「サラダ記念日」の刊行から、何と25年目のことになるようだ。

2009年3月~2011年12月にかけて「婦人公論」に連載された「うた便り」などからの抜粋と東日本大震災後の日々を綴った書き下しエッセイが収録されている。

「春」 「夏」 「秋」 「冬」という四季に分かれ、奥宮誠次による写真に、俵 万智の短歌が添えられるという構成になっている。

俵 万智によると、初めに奥宮の写真ありきで、それぞれの写真に合わせて短歌を詠んでいるそうだ。
日々、凡人が遭遇しそうな身近な体験話が綴られている。彼女風の独特の韻を踏むような文字面に、幾度か視線が上下するのもご愛敬か?  夏の章に、

はつ夏に金魚の赤を点じれば翡翠の色に水は輝く
瓢箪が手足を伸ばす日盛りに風起こしゆく夏の少年

俵 万智は、何故か?普段はあまりお目に掛からない難読?な熟語を用いることも多く、シバシバ読みに詰まるが、かえって意味深い。

ちょうど真ん中くらいのページ、お台場の文字に手が止まった。モノクロの見開きページだが、レインボウブリッジをバックにしたお台場海浜公園の夜景である。そこには、

見詰め合うことよりも同じ風景を見るということお台場の夜

海浜公園のウォークボードの端に寄り添って座るカップルの視線の先にレインボウブリッジがある。

お台場へ行った人なら誰でも、此処でシャッターを切る程のビューポイント。
しかし、何だか変だな・・・暫しあって納得。この写真は裏焼き、要するに、左右が逆になっている訳だ。奥付によると、奥宮誠次はプロの写真家らしいが、プロがこんな事をするのか?する必要が有ったのか?

お台場は、私の散歩コースのヒトツで、景色にも拘りを持っていて、この写真にガッカリした。しかも、更に子細に写真を眺めると、レインボウブリッジのバックに在るはずの、沢山の高層ビルも、多くが写っていない。

数年前より、もっともっと前の撮影か?あるいは、レインボウブリッジを際だたせるために、消してしまったのか?いずれにせよ、プロのやることではなそうだが・・・
久しぶりの俵 万智の歌集にワクワクしただけに、ここだけは、後味の悪い思いが残った。


この味がいいねと君が言ったから7月6日はサラダ記念日……「俵 万智」


「考証」

同じ場所で撮った写真。本の写真が裏焼き(左右が逆)であることが確認できる。


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