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2011年11月22日火曜日

「FMトランスミッター」は、奨めないが、USBなら

iPod や WalkMan など、いわゆるポータブルオーディオプレーヤーの周辺機器の売場に、型落ちしてから久しい「FMトランスミッター」が超特価であり、どの程度のモノか試しに買ってみた。

一般的な 3.5mm径のステレオミニ端子を備えるオーディオプレーヤーなどに接続し、音楽をFM電波として飛ばす機器だ。同じ様なモノは各社から発売されていて、多くが乗用車のカーステレオの近くに置き、シガーソケットから電源を取るようになっている。

これらは、オーディオプレーヤーの再生出力をFMステレオ電波として飛ばし、車載のカーステレオのFMチューナーで受信することを前提にしている。
カーステレオと何ら接続コードも必要とせずにオーディオプレーヤーのサウンドを聴くことが出来て手軽なところがうけているようだ。

確かに便利だが、少々技術的?な面から考察すると、デジタルで記録されている音楽データを iPodや WalkManでアナログに戻し、それをこの「FMトランスミッター」で変調して、FMステレオ電波として発信する。それを車外のアンテナを経由してカーステレオで受信して、元の音楽データに戻しスピーカーで再生する訳だ。

しかし、この複雑な過程の全てがアナログ信号として扱われるため、音質がドンドン劣化することになる。
周波数特性では高音域成分が失われ、左右の分離度もかなり悪くなり、S/Nも下がる。それと、電波法の規制で微弱なパワーしか出せないので、発信する電波が弱いとクルマのアンテナで必要十分なゲインが得らず途切れたりすることにもなる。

具体的に言うと、音楽データとして、周波数特性が本来は 20kHz位まであっても、10kHz位しか再生出来なかったり、チャンネルセパレーション、つまり左右のサウンドの反対側への漏れも -40dB(1/100)位あるべきものが -30dB(1/30)とか -20dB(1/10)になり、その分だけステレオ感が損なわれることになる。その他、受信環境にもよるが、潜在的な雑音が顕著になってくることもあり得る。

現在、市販されている殆ど全部ですが、こういったスペックをパッケージの定格欄に明示しているモノは見当たらない。恐らく、公表を憚られるようなスペックだからだろう?

私自身、過去に、この様なハードウェアの開発に関わった時期もあり、たかだか数千円の製品で、FMステレオ放送並みのスペックを実現するのはなかなか難しい。それ故、この様な「FMトランスミッター」は、手軽に使えると言ったメリット以外では、あまり褒められる様なところは無し。
ただし、車内と言う閉ざされた空間で、バスブーストを効かせ、ボリュームを目一杯の上げてサウンドを体感?しているような方々には良い買い物だったかも知れない。

一方、最近のカーステレオ/オーディオは、オーディオ・インタフェースとして、USBを採用したモノが普及し始めた。これを使って、iPod/iPhone などからドッグコネクタ経由で音楽データを直接インプットすれば、高品質のプレイバックが期待でき、これからの主流になるに違いなさそうだ。

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